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「光と影」解説① JWS Book No.4

2020年5月7日木曜日

水彩テクニック 水彩の本

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透明水彩レシピ4 光と影

今年のJWS展は中止になってしまいました。幻と言っても次回開催のJWS展が「第10回」展だけどね。

と言うことで、出品予定だった作品について、ちょっと解説。
今回はJWSの本「透明水彩レシピ4 光と影」にあわせて、「光と影」がテーマ。このテーマに沿って作品を2点出品予定でした。今日はそのうちの一点、昼間の風景を描いた「11.A.M」についてです。お付き合い下さい。


出品作品1 「11.A.M」

題が「11.A.M」で、かつての深夜番組をもじったような題になりましたが、これは偶然。描いたシーンがたまたま午前11時だっただけなので。太陽の高い昼間の風景について、レシピのページでは簡単にしか触れなかった事をちょっぴり解説してみたいと思います。

晴れた日の明るさ

太陽がさんさんと照っているってことは、明るいところと暗いところの明暗差が大きくなりますね。どのくらい差があるのか、ちょっと調べて見ました。船橋高校理数科卒の面目躍如 ! ! ってか。
晴天の昼間の明るさはおよそ8万〜10万ルクス、日陰でも400〜2,000ルクスだそう。日向は日陰の50〜200倍も明るいのね。

水彩画の明暗

ふつう、絵を描くときは日陰か家の中です。その明るさを500ルクスくらいとすると、照度の差は160倍もあります。屋外に比べると、部屋の中は真っ暗みたいな……。

実際には目の虹彩がすぼまって光量を調節したり、網膜が感度を上げ下げしたり、光の信号を脳がうまいこと処理するので、そんなに明暗差には感じません。それでも肉眼で見た風景が水彩画で表現できる明暗差を超えているのは感覚的にわかりますよね。水彩で表現できる明暗は、実際の風景に比べてずいぶん狭いんです。
風景を見た目に近く描こうとすれば、明暗にひと工夫いります。

明暗(階調)の圧縮

水彩画では、明暗差が狭い(小さい)ので、明暗を圧縮しなければなりません。そうすると自然に階調を整理(少なく)することになります。

絵のもとになった写真を白黒にしたもの
カラー写真を明暗だけの白黒に変換。
0〜100%の濃度、256階調。
                          ↓↓
明暗差を少なく階調を整理した画像
模式的に明暗差を少なくした画像
20〜80%の濃度、6階調に整理
明暗を圧縮したグラフ
そのまんま明暗を圧縮
上の図は階調を圧縮した模式図です。実際にはもっと明暗差が大きいけれど、画像では屋外の明暗差を表現できないので、あくまで模式。風景の明るい所から暗いところの明暗を水彩紙の上に再現できる明暗に置き換えると、こんな感じか。暗いところは絵の具のもっとも暗いところ、明るい所は紙の白、中間調もそのまま置き換えています。模式的に、一番明るい所がおよそ20%、暗いところは80%の濃度で、階調は6段階です。

 水彩画「11.A.M」での圧縮

「11.A.M」では、明るい牧草地や草、木々のほうにより焦点を当てています。特に明暗の圧縮を意識して描いた訳ではありませんが、自然とそうなりました。模式図にするとこんな感じかな↓↓
水彩画「11.p.m.」の明暗の圧縮 模式画像
実際に描いたときの明暗の圧縮 模擬画像

水彩画「11.p.m.」での明暗の圧縮 グラフ
昼間の風景用に明暗を圧縮

明るい所も暗いところも同じように描くと明暗差の無い絵になるので、 暗いところ、影の中の階調を減らして、減らした階調を木々の描写に使っています。
計測した訳ではないのですが、暗いほう(木の根元や影の中)の階調は段階が少なく、明るいほうの階調(木々や牧草地)は段階が多くなっていると思います。
具体的には日陰の部分にはもっと細かい明暗があっていろんなモノが見えているけれど、同じトーンで塗りつぶして暗くしています。こんなふうに暗い部分の階調をグッと圧縮して暗いトーンの中に沈めてしまうほうが、晴れた日の風景らしくなると思います。


水彩画 「11.A.M」 ニュージーランドの放牧地でのひとこま。
水彩画「11.A.M」(ニュージーランド / New Zealand)
size:35x50cm Paper:Waterford Cold Press 300g

次回は、もう一つの出品予定作品で黄昏時の風景について書きたいと思います。
ぜひ読んで下さい。それじゃ、また。


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